智山勧学会 理事長 元山公寿

                  (大正大学元教授)

 

 平成305月に、理事会及び総会において推挙、承認され、伝統ある智山勧学会の理事長に就任いたしました。この大役を引き受けた以上、諸先生方、会員諸師のご助言、ご助力をいただきながら、智山勧学会の発展に向けて、努力していく所存であります。

 

 智山勧学会の目的は、歴代智山の先師たちが培ってきた智山教学をますます発展させることにあります。しかし、智山教学といっても、その内実は自明ではありません。このことは、平成30年に刊行しました『日本仏教を問う~宗学のこれから~』において、さまざまな視点から論じられている通りです。これまで智山勧学会を牽引してきた諸先生方も、さまざまな視点から、智山教学を問うてきたように、智山教学は、必ずしも文献のみを通して探究されるものではなく、実践や、社会的な問題などを通して探究されるものです。そのため、智山教学の発展のためには、仏教学だけでなく、歴史学などさまざまな学的な分野からのアプローチを通して探究されていくだけではなく、実践などからも探究されていく必要があると思います。そのため、真言宗智山派に所属する皆様からの、事相や教化なども含め、さまざまな分野からの発表がなされるとともに、宗派にかかわらず、多くの方に参加いただき、活溌な発表がなされることが必要です。多くの皆さんの入会を切に願います。

 

多くの方々に関わっていただくことにより、次代の智山教学を担う研究者が育成されていくものと思っています。そのためには、教学大会や談話会などの智山勧学会の活動を活性化する必要があるでしょう。しかし、それだけで研究者の育成を果たすことはできません。大正大学や智山伝法院、さらには智山講伝所や智山教化センターと連携して、多面的に研究者を育成していく必要があろうかと思います。各機関のご協力を切にお願いします。

 

 最後になりましたが、智山勧学会の活動を支えていただいている会員諸師、及び宗内の諸大徳の皆様には、さらなるご支援、ご助力をお願いします。